法律は怖い。みんなもっと真剣に考えるべき

ひまなので憲法の判例(憲法にかんする事件について裁判所が出した判断のこと、憲法というのは中学校の社会科でさんざん習ったあのギョーギョーシイ条文です)をみていますと、何でこんなよくない判断が堂々と出るのかと、ふしぎに思ってしまうものがあります。

一つにはポポロ事件というのがあって、大学生が大学で政治のことについて研究集会をしていたら、近くの警察の人が一般人のふりをしてその集会にもぐりこんだり、学生や先生を尾行(ストーカー)したり、盗聴(!)したりして、何を考えているのか情報収集していたそうです(ちなみにポポロとは集会を開いたサークル名だそうです)。こりゃかなり怖いですよ。なぜ警察がそんなことができるのかわからない。

これについては、憲法に「第23条 学問の自由は、これを保障する。」という条文があるので、警察が学問の自由を侵害しているということで、裁判になりました。

しかし、裁判所は、くだいて言えば「政治集会は実社会の政治問題の研究であって、まじめに真理を研究する学問じゃないから、23条に当てはまらない。なので警察が活動していたとしても、憲法に反しない」と言いました。

こりゃかなりひどいですね。大体、法学や政治学という学問には、真理はないと言われているし、政治そのものを研究することが学問である、と言えるわけです。法律や政治だけじゃなくても、政治を研究することが学問と言える分野はたくさんあります(経済学、社会学)。なのにそれを言わずに、「政治集会は実社会の政治問題の研究であって、まじめに真理を研究する学問じゃない」などと、誰が見てもトボけたことを言って、警察を勝たせました。これが最高裁判所(裁判所の一番上で、最高のケンリョクを持っています)なのだから、あぜんとします。ちょっと考えれば、政治集会だって学問の範囲だと思い至るのに、警察を勝たせたいがために、考えないふりをして、その一歩手前で考えるのをやめているのです。

憲法というのは、こういうとぼけた都合のいい判断が、判例100選などと言われて、権威のある書物に堂々と載っているような学問です。

ちなみに、上の事件だと、学問の自由だけでなく、プライバシー権の侵害にもなります。たかだか政治思想がどうのこうのというだけで、警察の人に尾行されたり、情報収集されたりするのでは、安心して生活も出来ません。あなたが誰にも見られていないと思っていることでも、この社会には本当はすべてお見通しということがあるようなのです。上の事件は、あなたには関係ないよその世界のことではないんですよ。言ってみれば、知らないうちにあなたの生活が(自室でやっていること、風呂トイレまで全て)全部見られていたにひとしいような事件なんです。「へー、そうなんだー」なんて言っている場合じゃありません。

どうしてこんな明らかに憲法違反なことが、この社会にはまかりとおっているんでしょうか。みなさん、もっと真剣に考えてみてはどうでしょうか。